【図鑑No.8】
- 2014/10/17
- 22:17
【図鑑No.8】
名前:NO NAME
性別:男
身長:166cm
タイプ:狂信
特徴:失った情熱を再び燃やす
説明:
東京都内の生まれで大学卒業後は大手商社にて貿易の仕事に従事する。
入社から8年。彼は都内の支店から北海道の営業所へ配属となる。
誰も知り合いのいない地で彼はひたすらに働く。
夏は暑くて冬は寒い。当たり前のことだが、北海道の気温差は異常だった。
学生時代、バンドミュージックで奮わせた彼の心は寒さで凍え、
今は家と職場の往復、布団の中で体を震わせているだけだった。
----------
今回は彼の人生を変えた一日について説明する。
某日、彼は久々の休日で小さな街を歩いていた。
アーケード商店街の脇に看板を見つける。
<今夜LIVEやります!>
殴り書きのような文字、かつてのバンドミュージック好きとしては小さな街のバンドがどのレベルなのか少しだけ興味があった。
帰宅後、晩御飯を軽く済ませた彼は再び商店街に向かう。
過度な期待はしていない。
LIVE HOUSE EZOと書かれた看板、小さい扉。
ローカル感がある。自分が東京で通ったライブハウスの中にも小さな箱はあったが、ここよりは幾分もマシなレベルだった。
ライブ告知の貼紙を見る限り、今回は4つのバンドが出演し、最後の「Stove Hurricane」というバンドがメインらしい。
小さいLIVEにしては満員といっていい程の人数が集まっている。
小さい街のコミュニティという奴なのだろうか。この空気には全く慣れる気がしない。
入場から間もなく、最初のバンドが登場した。
若い。
高校生だろうか。
内容は最近流行りの音楽のコピーだった。
会場も一部の身内だけしか盛り上がっていないようだ。
2組目、3組目と同じようなバンドが続き、
ハズレだったと後方壁際でビールを飲んでいた。
次で最後か。これでは最後のバンドも知れたものだ。
せっかくだから最後まで見ていこうか。
最後は貼紙でみた「Stove Hurricane」という名のバンド。
暖房器具とハリケーンになんの繋がりも感じられないし、どんな音楽を奏でるのかも予想できないが、
今までのバンドを見る限り、ありきたりなコピーバンドだと推測できる。
登場するメンバーを見る。
遠くてよくわからないが、今までのバンドよりも年齢が一回り高いように見える。
いや、それどころか自分と同じかそれ以上の年齢だ。
そんな、おっさんバンドに待ってましたと言わんばかりに会場の熱気が上がっていくようだった。
演奏前からこの盛り上がり。地元のコミュニティに場違いに参加してしまったような気まずさがあった。
「Stove Hurricane」最初の曲が始まる。
荒々しい音の中に、重厚なサウンドが妙に入り混じっている。
だが、不快感はない。それどころか、体の中に心地よく熱を持ち、自然に高揚しているのを感じる。
技術はプロレベルだった。
そして、おっさんの経験から得られる人生観を残したメッセージ性の強い歌詞。
このサウンドはローカルバンドのレベルではない。
2曲目が始まった頃には彼は前へ前へと進んでいた。
片手で飲んでたビールはいつのまにかなくなっていた。いつ落としたのか、飲み終わってゴミ箱に捨てたのかすら覚えていない。
彼の心の氷は解けていた。そして、燃えていた。心も。体も。
彼は「Stove Hurricane」の虜になった。
----------
これは伝説のバンド「Stove Hurricane」の序章。
「Stove Hurricane」を観客の目線から見たドキュメントである。
この時彼が購入した「Stove Hurricane」のインディーズ時代のミニアルバム(Stove Hurricane)は今ではヤフオクで15.000円以上で取引されている。
彼が購入したときはもちろん定価1.200円。
ただ、このCDを売るものはほとんどいない。
なぜなら「Stove Hurricane」のミュージックは普遍的な情熱をいつでも届けてくれるからだ。
誰もこの情熱を手放したくない。この心があるから市場には出回らないため、ヤフオクで価値が高騰しているのだ。
【アルバム紹介】
タイトル:Stove Hurricane
アーティスト:Stove Hurricane
定価:1.200円(税別)
収録曲:
1.Before the Storm
2.Object C
3.Odyssea
4.Area Patrol
5.Stove Hurricane
6.Last session
それぞれのメンバーがかつて働いていた職場にちなんだ歌詞がリアル&ドラマティック。
これが新しくも正しい音楽である。
ボーカルはバックパッカーで自由に色々な国を旅してきた。異国情緒溢れる文化に触れた経験から多彩な表現で魅了する。ギターは元消防士。ベースは元プログラマー。ドラムは元宮大工といった異彩を放つ経歴。
こんな彼らが出会った奇跡を話すときりがない。
だが、それは、別のお話。
名前:NO NAME
性別:男
身長:166cm
タイプ:狂信
特徴:失った情熱を再び燃やす
説明:
東京都内の生まれで大学卒業後は大手商社にて貿易の仕事に従事する。
入社から8年。彼は都内の支店から北海道の営業所へ配属となる。
誰も知り合いのいない地で彼はひたすらに働く。
夏は暑くて冬は寒い。当たり前のことだが、北海道の気温差は異常だった。
学生時代、バンドミュージックで奮わせた彼の心は寒さで凍え、
今は家と職場の往復、布団の中で体を震わせているだけだった。
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今回は彼の人生を変えた一日について説明する。
某日、彼は久々の休日で小さな街を歩いていた。
アーケード商店街の脇に看板を見つける。
<今夜LIVEやります!>
殴り書きのような文字、かつてのバンドミュージック好きとしては小さな街のバンドがどのレベルなのか少しだけ興味があった。
帰宅後、晩御飯を軽く済ませた彼は再び商店街に向かう。
過度な期待はしていない。
LIVE HOUSE EZOと書かれた看板、小さい扉。
ローカル感がある。自分が東京で通ったライブハウスの中にも小さな箱はあったが、ここよりは幾分もマシなレベルだった。
ライブ告知の貼紙を見る限り、今回は4つのバンドが出演し、最後の「Stove Hurricane」というバンドがメインらしい。
小さいLIVEにしては満員といっていい程の人数が集まっている。
小さい街のコミュニティという奴なのだろうか。この空気には全く慣れる気がしない。
入場から間もなく、最初のバンドが登場した。
若い。
高校生だろうか。
内容は最近流行りの音楽のコピーだった。
会場も一部の身内だけしか盛り上がっていないようだ。
2組目、3組目と同じようなバンドが続き、
ハズレだったと後方壁際でビールを飲んでいた。
次で最後か。これでは最後のバンドも知れたものだ。
せっかくだから最後まで見ていこうか。
最後は貼紙でみた「Stove Hurricane」という名のバンド。
暖房器具とハリケーンになんの繋がりも感じられないし、どんな音楽を奏でるのかも予想できないが、
今までのバンドを見る限り、ありきたりなコピーバンドだと推測できる。
登場するメンバーを見る。
遠くてよくわからないが、今までのバンドよりも年齢が一回り高いように見える。
いや、それどころか自分と同じかそれ以上の年齢だ。
そんな、おっさんバンドに待ってましたと言わんばかりに会場の熱気が上がっていくようだった。
演奏前からこの盛り上がり。地元のコミュニティに場違いに参加してしまったような気まずさがあった。
「Stove Hurricane」最初の曲が始まる。
荒々しい音の中に、重厚なサウンドが妙に入り混じっている。
だが、不快感はない。それどころか、体の中に心地よく熱を持ち、自然に高揚しているのを感じる。
技術はプロレベルだった。
そして、おっさんの経験から得られる人生観を残したメッセージ性の強い歌詞。
このサウンドはローカルバンドのレベルではない。
2曲目が始まった頃には彼は前へ前へと進んでいた。
片手で飲んでたビールはいつのまにかなくなっていた。いつ落としたのか、飲み終わってゴミ箱に捨てたのかすら覚えていない。
彼の心の氷は解けていた。そして、燃えていた。心も。体も。
彼は「Stove Hurricane」の虜になった。
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これは伝説のバンド「Stove Hurricane」の序章。
「Stove Hurricane」を観客の目線から見たドキュメントである。
この時彼が購入した「Stove Hurricane」のインディーズ時代のミニアルバム(Stove Hurricane)は今ではヤフオクで15.000円以上で取引されている。
彼が購入したときはもちろん定価1.200円。
ただ、このCDを売るものはほとんどいない。
なぜなら「Stove Hurricane」のミュージックは普遍的な情熱をいつでも届けてくれるからだ。
誰もこの情熱を手放したくない。この心があるから市場には出回らないため、ヤフオクで価値が高騰しているのだ。
【アルバム紹介】
タイトル:Stove Hurricane
アーティスト:Stove Hurricane
定価:1.200円(税別)
収録曲:
1.Before the Storm
2.Object C
3.Odyssea
4.Area Patrol
5.Stove Hurricane
6.Last session
それぞれのメンバーがかつて働いていた職場にちなんだ歌詞がリアル&ドラマティック。
これが新しくも正しい音楽である。
ボーカルはバックパッカーで自由に色々な国を旅してきた。異国情緒溢れる文化に触れた経験から多彩な表現で魅了する。ギターは元消防士。ベースは元プログラマー。ドラムは元宮大工といった異彩を放つ経歴。
こんな彼らが出会った奇跡を話すときりがない。
だが、それは、別のお話。