【図鑑No.9】
- 2014/10/23
- 04:54
【図鑑No.9】
名前:パンク
性別:男
身長:177cm
タイプ:欠如した理性
特徴:数奇な運命
説明:
昔、捨てられていた子犬をいじめていた2個上のワルガキ二人を空き瓶でボコボコにした。
このことでスクールメイトから「こいつは理性がパンクしてやがる」と言われて以来、彼は街でパンクと呼ばれることとなる。
パンクの幼い頃、父が不倫相手との間に子供を作ったため、両親が離婚し母親に引き取られた。
母親はパンクが7つの頃、仕事で知り合った男と再婚したが、その男はパンクにとって最悪だった。
酒、ギャンブル、パンクへの暴力。
唯一の味方であるはずの母もあの男に捨てられたくない気持ちからかパンクを庇うことはなかった。
彼の母はいつまでも母ではなく、女でありたかったのだ。
そんな彼の救いはスクールだった。
スクールでは語学、歴史、数学、科学、地理、家では教えてくれない知識が溢れている。
スクールに通うたび、夢のように世界がどんどん形作られる。パンクはそれが楽しかった。
また、彼はスポーツも好きだった。
バスケット、サッカー、ラグビー、どれもクラスの中で一番活躍していた。
それどころかクラブに所属しているものよりも上手であった。
ある日、いつものように放課後、スクールに隣接するジムにバスケットをしに行った。
だが誰も彼とゲームをしようとしない。
なぜ俺とゲームをしないのか、問い詰めるパンク。
一人の男子がいった。
お前はここの誰よりもアグレッシブにプレイしている。それは誰もが認めるさ。でもお前はヒーローじゃない。
お前のプレイはゲームじゃないんだ。スポーツでは本気を出すべきだが、お前の本気はスポーツのものでなく殺し合いのようだ。
言葉の意味を理解できなかった。
スポーツのルールは知っているし、守っている。おれの何がいけないのか全くわからない。
やっぱりパンクはパンクだ。
彼らはそう投げ捨て、ジムを出て行った。
パンクは日常における暴力を耐えるうちに自身でも力の加減がわからなくなっていたのだ。
あの男が奮う拳ひとつひとつの痛みを覚えている。その力はどのように加えれば発揮できるのかも知っている。
大人の男の拳を小さい頃から浴び続けた彼には、同年代とのスポーツでの体の衝突では何も動じず、心の奥底で物足りなさを感じていたのだ。
自身の異常に気付いたその日からパンクはスクールに通うのをやめた。
時が経ち、彼の体も大きくなるとあの男からの暴力も止み、幾分か住みやすくなったものの面白いものでもないので15の頃には隣町で一人暮らしを始めていた。
隣町のチームに所属し、悪行を重ねる日々を送っていたのは16になる頃だったか。
その頃にはパンクの腕っ節を地元のワル達は認め、チームの中に彼を慕う小さいグループができていた。
所属のチームは、盗難、器物破損、ドラッグ。とにかく殺し以外なら何でもやっていた。
また、他のチームとの揉め事も多く、そのたびに彼らは喧嘩に明け暮れていた。
彼が18の誕生日を迎える月だったろうか。ちょうど季節は秋へと変わり、涼しく過ごしやすい日が続いてた。
チームの中で彼を慕っていた一人が別チームに難癖を付けられ、1ヶ月の入院生活を送るはめになった。
別チーム内の数人のグループで袋叩き、一対複数で一方的な暴力であったと聞いた。
チームとして見過ごすわけにはいかない、自分を慕ってくれている数少ない仲間をこんな目に合わせて許せない。
個人としてチームとしてパンクは怒りと憎しみを覚えた。
パンクはたった一人で仲間を傷つけた奴らの元へ向かった。
そして、相手グループの中心人物だけに狙いをつけ、ひたすらに殴った。殴り続けた。
おれはパンクだ。パンクしているんだ。
そう叫びながら目の前の男を殴る。殴る。
相手グループの他の連中が後ろから自分に攻撃しているのをわずかに感じた。
だか痛みはなかった。やはり自分はパンクしているからなのだろうか。
いつのまにか気絶していた。
起きると、そこは病院だった。
医者と話をする。
自分も相当殴られたらしい。ただ、それ以上に自分が殴っていた男のほうが酷い怪我を負ったとのことだ。
復習は成功したと言っていいだろう。どうしてかスカッとした気持ちになれなかったが。
ここまでならよかったんだ。
ただ、自分は運が悪かった。
ポリスが室内に入ってきた。
難しいことを言っていてよくわからないが自分を豚箱入れるつもりらしい。
ガキの喧嘩でご苦労なこった。
なら、自分以外に今回の件に関わった連中は揃って豚箱行きだ、と思っていた。
しかし、ポリスが言うにはパンク一人だけを逮捕するとのことだ。
一瞬驚いたが、特に後悔もなかった。豚箱での生活も悪くないとすら思っている自分がいることに気付き、やはり自分はパンクだと、実感した。
これは後々、刑務所内で噂好き男から聞いて知った話だが、自分が殴った男というのは実は警察のお偉いさんの息子で、息子のトラブルを揉み消して自分だけに罪をなすりつけたらしい。
自分の運のなさに冷めた笑いを浮かべ、パンクした人間の末路はこんなものだと皮肉交じりに呟いた。
--------
パンク自身は知る由もないが、この話には実はもう一つ、数奇な運命の連鎖がある。
パンクが殴り続けた男の父。つまり息子の事件を隠蔽した警察のお偉いさん。
彼はパンクの実の父なのだ。
パンクの母親と離婚後、不倫相手と再婚した父。
不倫相手との間に生まれた子供というのが、パンクの仲間を病院送りにしたグループの主犯格である。
パンクは知らずの内に異母兄弟に大怪我をさせた挙句、自身が刑務所に入ることになったのである。
この事実を知っているのはパンクの父親、ただ一人である。
この物語の本当の主役、そして黒幕は彼の父親なのかもしれない。
名前:パンク
性別:男
身長:177cm
タイプ:欠如した理性
特徴:数奇な運命
説明:
昔、捨てられていた子犬をいじめていた2個上のワルガキ二人を空き瓶でボコボコにした。
このことでスクールメイトから「こいつは理性がパンクしてやがる」と言われて以来、彼は街でパンクと呼ばれることとなる。
パンクの幼い頃、父が不倫相手との間に子供を作ったため、両親が離婚し母親に引き取られた。
母親はパンクが7つの頃、仕事で知り合った男と再婚したが、その男はパンクにとって最悪だった。
酒、ギャンブル、パンクへの暴力。
唯一の味方であるはずの母もあの男に捨てられたくない気持ちからかパンクを庇うことはなかった。
彼の母はいつまでも母ではなく、女でありたかったのだ。
そんな彼の救いはスクールだった。
スクールでは語学、歴史、数学、科学、地理、家では教えてくれない知識が溢れている。
スクールに通うたび、夢のように世界がどんどん形作られる。パンクはそれが楽しかった。
また、彼はスポーツも好きだった。
バスケット、サッカー、ラグビー、どれもクラスの中で一番活躍していた。
それどころかクラブに所属しているものよりも上手であった。
ある日、いつものように放課後、スクールに隣接するジムにバスケットをしに行った。
だが誰も彼とゲームをしようとしない。
なぜ俺とゲームをしないのか、問い詰めるパンク。
一人の男子がいった。
お前はここの誰よりもアグレッシブにプレイしている。それは誰もが認めるさ。でもお前はヒーローじゃない。
お前のプレイはゲームじゃないんだ。スポーツでは本気を出すべきだが、お前の本気はスポーツのものでなく殺し合いのようだ。
言葉の意味を理解できなかった。
スポーツのルールは知っているし、守っている。おれの何がいけないのか全くわからない。
やっぱりパンクはパンクだ。
彼らはそう投げ捨て、ジムを出て行った。
パンクは日常における暴力を耐えるうちに自身でも力の加減がわからなくなっていたのだ。
あの男が奮う拳ひとつひとつの痛みを覚えている。その力はどのように加えれば発揮できるのかも知っている。
大人の男の拳を小さい頃から浴び続けた彼には、同年代とのスポーツでの体の衝突では何も動じず、心の奥底で物足りなさを感じていたのだ。
自身の異常に気付いたその日からパンクはスクールに通うのをやめた。
時が経ち、彼の体も大きくなるとあの男からの暴力も止み、幾分か住みやすくなったものの面白いものでもないので15の頃には隣町で一人暮らしを始めていた。
隣町のチームに所属し、悪行を重ねる日々を送っていたのは16になる頃だったか。
その頃にはパンクの腕っ節を地元のワル達は認め、チームの中に彼を慕う小さいグループができていた。
所属のチームは、盗難、器物破損、ドラッグ。とにかく殺し以外なら何でもやっていた。
また、他のチームとの揉め事も多く、そのたびに彼らは喧嘩に明け暮れていた。
彼が18の誕生日を迎える月だったろうか。ちょうど季節は秋へと変わり、涼しく過ごしやすい日が続いてた。
チームの中で彼を慕っていた一人が別チームに難癖を付けられ、1ヶ月の入院生活を送るはめになった。
別チーム内の数人のグループで袋叩き、一対複数で一方的な暴力であったと聞いた。
チームとして見過ごすわけにはいかない、自分を慕ってくれている数少ない仲間をこんな目に合わせて許せない。
個人としてチームとしてパンクは怒りと憎しみを覚えた。
パンクはたった一人で仲間を傷つけた奴らの元へ向かった。
そして、相手グループの中心人物だけに狙いをつけ、ひたすらに殴った。殴り続けた。
おれはパンクだ。パンクしているんだ。
そう叫びながら目の前の男を殴る。殴る。
相手グループの他の連中が後ろから自分に攻撃しているのをわずかに感じた。
だか痛みはなかった。やはり自分はパンクしているからなのだろうか。
いつのまにか気絶していた。
起きると、そこは病院だった。
医者と話をする。
自分も相当殴られたらしい。ただ、それ以上に自分が殴っていた男のほうが酷い怪我を負ったとのことだ。
復習は成功したと言っていいだろう。どうしてかスカッとした気持ちになれなかったが。
ここまでならよかったんだ。
ただ、自分は運が悪かった。
ポリスが室内に入ってきた。
難しいことを言っていてよくわからないが自分を豚箱入れるつもりらしい。
ガキの喧嘩でご苦労なこった。
なら、自分以外に今回の件に関わった連中は揃って豚箱行きだ、と思っていた。
しかし、ポリスが言うにはパンク一人だけを逮捕するとのことだ。
一瞬驚いたが、特に後悔もなかった。豚箱での生活も悪くないとすら思っている自分がいることに気付き、やはり自分はパンクだと、実感した。
これは後々、刑務所内で噂好き男から聞いて知った話だが、自分が殴った男というのは実は警察のお偉いさんの息子で、息子のトラブルを揉み消して自分だけに罪をなすりつけたらしい。
自分の運のなさに冷めた笑いを浮かべ、パンクした人間の末路はこんなものだと皮肉交じりに呟いた。
--------
パンク自身は知る由もないが、この話には実はもう一つ、数奇な運命の連鎖がある。
パンクが殴り続けた男の父。つまり息子の事件を隠蔽した警察のお偉いさん。
彼はパンクの実の父なのだ。
パンクの母親と離婚後、不倫相手と再婚した父。
不倫相手との間に生まれた子供というのが、パンクの仲間を病院送りにしたグループの主犯格である。
パンクは知らずの内に異母兄弟に大怪我をさせた挙句、自身が刑務所に入ることになったのである。
この事実を知っているのはパンクの父親、ただ一人である。
この物語の本当の主役、そして黒幕は彼の父親なのかもしれない。