自転車の話
- 2015/05/19
- 16:39
どうも。
あじです。
先日の自転車の話の続きでもしよう。
あれはちょうど1週間前の話だったか。
「すみっこの空さん」の新巻が出ていることを知った夜。
どうしてもすぐに読みたくて、駈け出した。
時間は0:50。
距離は少しあるが、菊水のTSUTAYAは2:00までの営業だったはずだ。
ホワイト・グリントで出れば、十分間に合う。
考えるが先か、出るが先か。気づいた時にはホワイト・グリントに跨っていた。
夜の街を漕ぐ。
景色が流れる。
車よりも速いのではないかと錯覚するほどのスピードだった。
気づけばTSUTAYAは直ぐ目の前。
しかし、様子がおかしい。
明かりが消えているようだ。
もっと近くで確かめてみる。
「CLOSE 0:00」
目を疑ったが、どうやら間違いないらしい。
知らない間に営業時間が短縮されていたようだ。
悔しくて、悔しくて、
私はホワイト・グリントと一緒に夜の道を漕いだ。
そこで見つけた、「サイクリングロード」の入り口。
北広島まで行けるというので、気晴らしに良いかと軽い気持ちで進む。
記憶では入り口に18Kmと書いてあったため、
自転車ならすぐだろうと、思った。気分はハイウェイスターだ。
しばらく漕いだだろう。
少し疲れたとスピードとギアを緩め、久々に地面に足をつける。
なんとなく、かっこいいことしている気分になっている自分。
昼間なら恥ずかしいが、真夜中だから問題ない。
ふと頭にスタンド・バイ・ミーが流れる。今月、ベン・E・キングが亡くなったことも併せて、切なさが募る。
さて、また出発だ。
もはやどこまでもいける気分だ。
そんな気分も一時的なものだったようで。
疲れと不安は定期的に顔をだす。
それもそのはず。
私が必死に漕いでいた道、途方もない距離を進んでいると思っていたが、
すべて主観的なものだったようだ。
この看板をみて絶望する。
あれだけの道のりが、たった6kmちょっとしかなかったのだから。
お釈迦様の手のひらで踊らされていた孫悟空のように。
乙女座シャカと戦う不死鳥イッキのように。
広大な北海道の地に一人で挑んだ、醜い男は無力であったのだ。
それでも自分にだけは負けたくないと、
自分との戦いを始める。
ここで引き返したらださい、と。
途中の公園にあったサイクリングロードの看板を見るが、現在地も距離もよくわからない。
桟橋から見える道路はとても綺麗だが、ここがどこかもわからない。
景色から視線を前に戻すが、
自分が進む先には該当一つなくて、道がわからない。
頼りになるのはホワイト・グリントのライトだけだ。
明かりのない道をひたすら進む。
途中ベンチで休憩していると。
草むらが揺れ、光る目に遭遇。
びびって硬直していると、あらわれたのはキツネ。
キツネなら何とか勝てるだろうと妙に強気になり、自転車のライトを「強」にして威嚇。
なんなく撃退。
道はまだまだ続く。2.6Km。
そして、ついに到着。
GOALの文字も、祝福もないまま。
死んだ目つきで漕いでたらいつのまにか北広島駅。
寒い。風が冷たかった。
もっと厚着をしていくんだった。そもそも、こんなこと予定していなかったから。
少しだけ、達成感を得て満足している自分に絶望が顔をだす。
そう、帰り道だ。
この道を引き返す?ごめんだ。
ならせめて明るい道、コンビニで回復できる道を探すさ。
ただ、この選択も誤りだったことを知る。
この日に限っては正しい選択はそもそも【夜外にでない】ことであるが、
その選択をすることは、自分が自分じゃなくなるようで、つまり、後悔先に立たずなのだ。
ちなみに、北広島周辺にはコンビニがあまり、ない。
だからホットドリンクで体をあたためることも、
おにぎりでエネルギーを得ることもできない。
結局、知らない道を延々と走り続け1時間程、
もはや農村と名称変更した方がいいような周りになにもないローソンでホットコーヒーを購入する。
うめえ。
これは生き返る。
ただ、体が温まるのはほんの一瞬。
一時の幸せを得たら、残りの日常が不幸に感じるように。
寒い程度の感覚だったものが、極寒に感じてくる。
これはきつい。
GoogleMapを使うしかない。
自分の位置を確認。
あれ・・・。
道が、
違う、
ようだ。
不幸中の幸いか、全くの逆でもなかったようで、
すこしずれていただけのよう。
これならまだまだリカバリ可能であると、
頭の中で自分に言い訳する。
そうして、自分がよく知る道についたのは朝日が登ってからの話。
地図でみたら大したことないが、これを往復すると相当心折れるからな。
ましてや、一連の準備もなく、ただの思いつきならなおさら。
初めてのロードバイクだから、慣れない姿勢で腰とケツ、腕が辛いし、
体は冷えきっているし、なにしろ時間が過ぎ去ってしまったし、
達成感を得たとしても、この数式は割に合わない。
それでも、休暇のたびに、どこか遠くへ走りたくなるのは、
この辛さを楽しさとして、いい思い出として、残しておきたい、
そんな可哀想な気持ちからなんだろうか。
私は今も、これからどこへいこうか考えているのである。
あじです。
先日の自転車の話の続きでもしよう。
あれはちょうど1週間前の話だったか。
「すみっこの空さん」の新巻が出ていることを知った夜。
新品価格 |
どうしてもすぐに読みたくて、駈け出した。
時間は0:50。
距離は少しあるが、菊水のTSUTAYAは2:00までの営業だったはずだ。
ホワイト・グリントで出れば、十分間に合う。
考えるが先か、出るが先か。気づいた時にはホワイト・グリントに跨っていた。
夜の街を漕ぐ。
景色が流れる。
車よりも速いのではないかと錯覚するほどのスピードだった。
気づけばTSUTAYAは直ぐ目の前。
しかし、様子がおかしい。
明かりが消えているようだ。
もっと近くで確かめてみる。
「CLOSE 0:00」
目を疑ったが、どうやら間違いないらしい。
知らない間に営業時間が短縮されていたようだ。
悔しくて、悔しくて、
私はホワイト・グリントと一緒に夜の道を漕いだ。
そこで見つけた、「サイクリングロード」の入り口。
北広島まで行けるというので、気晴らしに良いかと軽い気持ちで進む。
記憶では入り口に18Kmと書いてあったため、
自転車ならすぐだろうと、思った。気分はハイウェイスターだ。
しばらく漕いだだろう。
少し疲れたとスピードとギアを緩め、久々に地面に足をつける。
なんとなく、かっこいいことしている気分になっている自分。
昼間なら恥ずかしいが、真夜中だから問題ない。
ふと頭にスタンド・バイ・ミーが流れる。今月、ベン・E・キングが亡くなったことも併せて、切なさが募る。
さて、また出発だ。
もはやどこまでもいける気分だ。
そんな気分も一時的なものだったようで。
疲れと不安は定期的に顔をだす。
それもそのはず。
私が必死に漕いでいた道、途方もない距離を進んでいると思っていたが、
すべて主観的なものだったようだ。
この看板をみて絶望する。
あれだけの道のりが、たった6kmちょっとしかなかったのだから。
お釈迦様の手のひらで踊らされていた孫悟空のように。
乙女座シャカと戦う不死鳥イッキのように。
広大な北海道の地に一人で挑んだ、醜い男は無力であったのだ。
それでも自分にだけは負けたくないと、
自分との戦いを始める。
ここで引き返したらださい、と。
途中の公園にあったサイクリングロードの看板を見るが、現在地も距離もよくわからない。
桟橋から見える道路はとても綺麗だが、ここがどこかもわからない。
景色から視線を前に戻すが、
自分が進む先には該当一つなくて、道がわからない。
頼りになるのはホワイト・グリントのライトだけだ。
明かりのない道をひたすら進む。
途中ベンチで休憩していると。
草むらが揺れ、光る目に遭遇。
びびって硬直していると、あらわれたのはキツネ。
キツネなら何とか勝てるだろうと妙に強気になり、自転車のライトを「強」にして威嚇。
なんなく撃退。
道はまだまだ続く。2.6Km。
そして、ついに到着。
GOALの文字も、祝福もないまま。
死んだ目つきで漕いでたらいつのまにか北広島駅。
寒い。風が冷たかった。
もっと厚着をしていくんだった。そもそも、こんなこと予定していなかったから。
少しだけ、達成感を得て満足している自分に絶望が顔をだす。
そう、帰り道だ。
この道を引き返す?ごめんだ。
ならせめて明るい道、コンビニで回復できる道を探すさ。
ただ、この選択も誤りだったことを知る。
この日に限っては正しい選択はそもそも【夜外にでない】ことであるが、
その選択をすることは、自分が自分じゃなくなるようで、つまり、後悔先に立たずなのだ。
ちなみに、北広島周辺にはコンビニがあまり、ない。
だからホットドリンクで体をあたためることも、
おにぎりでエネルギーを得ることもできない。
結局、知らない道を延々と走り続け1時間程、
もはや農村と名称変更した方がいいような周りになにもないローソンでホットコーヒーを購入する。
うめえ。
これは生き返る。
ただ、体が温まるのはほんの一瞬。
一時の幸せを得たら、残りの日常が不幸に感じるように。
寒い程度の感覚だったものが、極寒に感じてくる。
これはきつい。
GoogleMapを使うしかない。
自分の位置を確認。
あれ・・・。
道が、
違う、
ようだ。
不幸中の幸いか、全くの逆でもなかったようで、
すこしずれていただけのよう。
これならまだまだリカバリ可能であると、
頭の中で自分に言い訳する。
そうして、自分がよく知る道についたのは朝日が登ってからの話。
地図でみたら大したことないが、これを往復すると相当心折れるからな。
ましてや、一連の準備もなく、ただの思いつきならなおさら。
初めてのロードバイクだから、慣れない姿勢で腰とケツ、腕が辛いし、
体は冷えきっているし、なにしろ時間が過ぎ去ってしまったし、
達成感を得たとしても、この数式は割に合わない。
それでも、休暇のたびに、どこか遠くへ走りたくなるのは、
この辛さを楽しさとして、いい思い出として、残しておきたい、
そんな可哀想な気持ちからなんだろうか。
私は今も、これからどこへいこうか考えているのである。